「よく物を落とす」
「人や物によくぶつかる」
「階段や段差でつまずきやすい」
そんな様子が気になる子ども、まわりにもいませんか?
実はこうした行動の背景には、空間認知の育ちの遅れや偏りが隠れていることがあります
今回は、空間認知ってなに?という基本から、日常でできる支援の工夫まで
作業療法士の視点から、わかりやすくご紹介します!
空間認知ってなに?
空間認知とは、簡単に言えば「自分とまわりのものとの位置関係を感じ取る力」
この力が育っていくことで、私たちは物にぶつからずに歩いたり、コップを倒さずに飲んだりできるようになります
たとえば…
- コップを取るときに、どこに手を伸ばせばいいかわかる
- ドアの幅に合わせて体を通す
- 段差の高さを見て足を上げる
これらすべてが「空間認知」の力によって成り立っているんです
発達障害やグレーゾーンの子どもたちの中には、この空間認知がうまく育っていないケースも少なくありません
空間認知の発達が未熟な子によく見られる様子
こんな行動、思い当たることはありませんか?
✅ よくある特徴:
- 人や家具にぶつかりやすい
- 階段でつまずいたり転びやすい
- コップやお皿をよく落とす
- 工作やぬり絵で、形や枠に合わせるのが苦手
- 文字の大きさや間隔がバラバラ(書字にも影響)
- ブロックやパズルの位置合わせに時間がかかる
「不注意」「落ち着きがない」と捉えられがちですが
実際には見た情報と体の動きのつながりが弱いことで起きていることもあるのです
空間認知に関わる感覚や力とは?
空間認知が育つためには、さまざまな感覚が関係しています
代表的なのがこちら:
① 視覚認知
ものの形・位置・距離などを“見て理解する”力
たとえば、どこに障害物があるか、どのくらいの幅か、どの順に物が並んでいるか…といった情報です
② 固有感覚
自分の手足がどこにあるか、どのくらい動いているかを感じる感覚
見なくても物をつかめたり、自分の体をスムーズに動かすには不可欠な感覚です
③ 前庭感覚
体の傾きや回転、バランスを感じる感覚
転びにくくなったり、高さへの恐怖が減ることで、空間の把握がしやすくなります
これらの感覚がうまくつながらないと、「見る・動く・調整する」の連携がスムーズにいかず
結果として「ぶつかる」「落とす」といった行動につながるのです
家庭でできる!空間認知を育てる支援の工夫5選
では、空間認知の力はどうやって育てていけばよいのでしょうか?
家庭でも取り入れやすい遊びや環境設定を、5つご紹介します!
① トンネルくぐりや段ボール迷路
「自分の体の大きさ」と「空間の広さ」を比べる感覚が育ちます
狭いところをくぐる・しゃがむ・よけるなどの経験がとても効果的!
② ブロック・パズル・型はめ遊び
形の認識や空間内での位置合わせが必要な遊び
「どの向きにすれば入るかな?」「これとこれ、どう違うかな?」という気づきが生まれます
③ 並べる・仕分ける遊び
大小・長短・左右などの概念を意識する遊びは、視覚的な空間認識の練習になります
おもちゃやお菓子など、身近なものでOK!
④ 風船バレー・ボールキャッチ
動くものを目で追いながら、距離やタイミングを合わせて動く経験ができます
大きめでゆっくり動く風船から始めるのがオススメ!
⑤ 障害物よけゲーム
おうちの中でクッションやぬいぐるみを置いて、よけながら歩くだけでも立派なトレーニング
「どこを通ればいいかな?」と考える力も育ちます
こんな関わりが大切!
支援の際には、以下のようなポイントを意識すると効果的です
🔹 見本を見せてから動きをまねさせる
→ モデルがあると理解しやすく、空間
的なイメージもつきやすくなります
🔹 失敗しても笑ってやり直せる雰囲気を作る
→ 緊張や失敗への不安が強い子は、リ
ラックスして取り組める環境が必要
です
🔹 「前よりうまくなったね」と変化を伝える
→ 効果を実感しやすくなり、自信にも
つながります
おわりに~空間認知は“遊び”で育つ!~
「ぶつかる・落とす・つまずく」そんな行動には、空間認知の未熟さが関係している場合があります
だからこそ、
無理に注意させたり、叱ったりするのではなく
「見て・動いて・感じる」体験を、日常の遊びの中でたくさん経験させてあげることがとても大切!
家庭でもできるちょっとした工夫で、
子どもは自分の体と空間の関係を少しずつ理解し、スムーズに動けるようになっていきます
「できた!」の小さな成功体験を一緒に増やしていきましょう!
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