「なんでいつも○○してるんだろう…」
「変な癖だけど、注意しても直らない…」
発達がゆっくりなお子さんの関わりで、こんなふうに感じたことはありませんか?
実はその“癖”のように見える行動、感覚の困りごとが背景にあるかもしれません
作業療法士として現場で子どもたちと関わる中で、理由があって繰り返される行動にたくさん出会ってきました
この記事では、よくある“気になる癖”と、その背景にある感覚の特徴、家庭でできる工夫についてお伝えします
よく見かける「気になる癖」って?
一見すると“癖”に見える行動でも、実は子どもなりの目的や理由があることがあります
以下のような行動を見かけたことはありませんか?
- 髪の毛をくるくる巻く、引っ張る
- 指を口に入れてチューチュー吸う
- ペンや袖など、何かを噛んでしまう
- 同じ動きを繰り返す(手をひらひらさせる、足をバタバタする)
- 狭い場所や特定の姿勢にこだわる
こういった行動には、ただの癖では説明できない「感覚刺激を求める・調整する」役割があることがあります
感覚の困りごとが背景にあることも
子どもたちは、感覚を使って自分の体や周りの世界を感じながら生活しています
でも、感覚の受け取り方や処理のしかたに“特性”がある場合、そのバランスを取るために特定の行動が現れることがあります
例)
- 手を噛む・何かを口に入れる:口の中の感覚(触覚・固有感覚)を求めている
- 髪を触る・袖を噛む:不安の調整、自分を落ち着かせるための手段
- 繰り返し動作:過剰に入ってくる感覚をリセットする、または足りない刺激を補うため
「変な癖」と見える行動も、実はその子なりの“感覚との付き合い方”かもしれません
家庭でできるちょっとした工夫
「やめなさい!」と叱っても、本人にとって意味のある行動なら簡単にはやめられません
まずは「なぜこの行動をしているのか?」という視点で見てみましょう
その上でできることの一例です:
- 口に物を入れる → 歯固め代わりのおもちゃやシリコン製のアクセサリーを使う
- 触覚が過敏そう → チクチクしない服やタグの工夫、肌触りの良い素材を選ぶ
- じっとしていられない → ブランコやジャンプなど、体を動かす遊びを日常に取り入れる
行動を抑え込むより、代替手段を用意してあげることが大切です
「やめさせる」のではなく、「安心してできる形に変える」ことを意識してみてください
まとめ
癖のように見える行動の裏には、本人なりの理由や感覚的なニーズが隠れていることがあります
感覚の視点で見てみると、「なんでこんなことするの?」が「そうだったのか」になるかもしれません
発達がゆっくりなお子さんのサインを、見落とさずに受け止めていけるよう
少しだけ立ち止まって、行動の意味に目を向けてみませんか?
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