人と話すときにすごく近づいてしまう
友だちにベタベタくっついてしまう
そんな様子にドキッとしたことはありませんか??
発達がゆっくりなお子さんやグレーゾーン・発達障害のあるお子さんの中には
人との距離感をつかむのが苦手な子がいます!
「なんでそんなにくっつくの?」
「嫌がられてるよ?」
と注意してもなかなか改善しないと感じている方も多いかもしれません
ここでは「人との距離が近すぎる子」に見られる背景や 家庭でできる支援のポイントについて作業療法士の視点からお伝えします!
なぜ人との距離が近くなってしまうのか
子どもが人との距離を近く取りすぎてしまう理由は一つではありません
いくつかの要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです
◉ 自分の体の大きさをうまく把握できていない
これは「固有受容感覚」という身体感覚に関係しています
たとえば 手を伸ばせばどこまで届くか
後ろを向かずにドアに手が届くかどうか
こうした感覚がうまく育っていないと
人との距離を測るのも難しくなります
その結果 近づきすぎてしまうことがあります
◉ 社会的なルールがまだ育っていない
距離の取り方や関わり方には文化や年齢によって異なる「暗黙のルール」があります
特にASD(自閉スペクトラム症)傾向がある子は
相手の表情や雰囲気を読み取って距離を変えることが苦手です
悪気はないけれど そのルールを知らないだけということもあります
◉ 感覚的な心地よさを求めている
感覚が過敏な子もいれば 鈍感な子もいます
人とのふれあいに対して「もっと近くで感じたい」と思う子もいます
このような子は物理的な近さによって安心を得ていることがあります
◉ 愛着や対人不安からくるもの
周囲との関係に不安を抱えている子は
距離を詰めることでつながりを確かめようとする場合があります
常に誰かとくっついていたい
そばにいてほしい
そんな思いの現れかもしれません
家庭でできるサポートの工夫
◉ 距離を伝える練習をする
「一歩下がってみよう」
「腕を伸ばして手が届かないくらいがいいよ」
というように 距離感を視覚や動作で教えていくことが効果的です
たとえば…
• 手をつないで「このくらいがちょうどいい距離だね」と伝える
• ぬいぐるみや人形遊びの中で距離を考える場面を入れる
繰り返し伝えることで少しずつ感覚が育っていきます
◉ 家族の中でロールプレイをする
遊びの中でロールプレイを取り入れ
「こんにちはって言うときはこのくらいの距離にするよ」と
実際にやってみるのもおすすめです
身体を使って経験することが一番の学びにつながります
◉ 相手の気持ちに気づくきっかけを作る
「お友だちがちょっと困ってるかもね」
「ぎゅっとされたらどう思うかな」
というように 相手の気持ちに気づけるような声かけをしてみましょう
注意ではなく 気づきを促すことで
自然と距離の取り方に意識が向くようになります
◉ 感覚を満たす遊びを取り入れる
感覚的に「近さ」を求めている子には
重いものを運んだり 全身を使った遊びを通して
体の感覚をしっかりと感じる経験が有効です
トランポリンや布団にくるまる遊び
バランスボールを使った遊びなどもおすすめです
◉ 「距離が近い=悪いこと」ではないと伝える
最も大切なのは
その子の特性や感じ方を否定しないことです!
人との距離が近くなってしまうのには意味があります
社会で困らないためのスキルとして距離の取り方を練習する
その目的を忘れずにいたいですね!
まとめ
人との距離が近すぎると指摘される子には
さまざまな感覚的 社会的 心理的な背景が隠れていることがあります
ただ注意するだけではなく
その子がどんなふうに人と関わりたいのか
なにが難しいのかを一緒に見つめることが大切です
発達ゆっくりさんやグレーゾーンの子どもたちの社会性は
周囲の理解と関わり方でゆっくりと育っていきます!
できることから少しずつ 家庭の中でもサポートしていけたら素敵ですね!
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