「美容院に入った瞬間から泣き出す…」
「家で髪を切ろうとしても、大暴れして全然切れない」
そんなふうに、髪を切ることに強い抵抗を示す子どもは少なくありません
特に、発達障害や発達がゆっくりな子どもには感覚過敏や見通しの立ちにくさが関係していることが多く、無理に進めることでますます苦手意識が強くなってしまうこともあります
この記事では、「髪を切るのを嫌がる理由」と、家庭でできる具体的な支援の工夫を5つご紹介します
髪を切るのが苦手な子の“よくある背景”
髪を切るのが苦手な子どもは、以下のような理由を抱えていることがよくあります:
- ハサミの音や振動が怖い
- 頭や耳に触れられることが苦手(触覚の過敏)
- 切った髪が肌につく感覚が気持ち悪い
- 洗髪時の水の感覚やにおいが嫌い
- 何をされるのか分からず、不安やパニックになる
- 「じっとしている」「静かにする」のがそもそも難しい
こうした感覚の特性や発達段階の影響が絡み合って、「髪を切る=恐怖や不快な体験」になっている子も少なくありません
工夫①:事前に“見通し”を伝える
髪を切る流れが分からず不安を感じている子には、視覚的に「やること」が分かる工夫が有効です
- 写真や絵カードで「①ケープをつける→②髪を濡らす→③切る→④終わり」などと順序を見せる
- 短い動画で“髪を切る様子”を一緒に確認しておく
- 「あと〇分で終わるよ」など、時間の目安も伝える
“次に何が起きるか”が見えることで、不安がぐっと減る子は多いです
工夫②:刺激の少ない方法・場所を選ぶ
感覚過敏がある子にとって、美容院の光・音・におい・肌触りはとても強い刺激です
以下のような工夫で、感覚刺激をできるだけ減らすことが助けになります
- 美容院よりも、自宅や落ち着ける場所で切る
- ケープではなくタオルや着古したTシャツで代用する
- できるだけ静かな時間帯・空間を選ぶ
- 短時間で終わるように、事前に髪型を決めておく
また、感覚的に「大丈夫だった」体験が一度でもあると、次回以降のハードルが下がりやすくなります
工夫③:触覚への刺激を軽減する
「頭に触れられる」「髪が肌に当たる」といった触覚刺激が苦手な子は、それだけで拒否反応が出やすくなります
- 首や耳のまわりをあらかじめタオルなどでカバーする
- 髪を切ったあとはすぐに服を着替える・シャワーするなど、不快感を残さない工夫をする
- ヘッドマッサージやブラッシング遊びで、日常的に“心地よい刺激”に慣れておく
過敏な部分は「やさしく・短時間・安心してできる形」で慣れていくことが大切です
工夫④:本人が選べる“コントロール感”を作る
感覚過敏だけでなく、「自分で選べない状況」への不安が強い子もいます
その場合は、できる範囲で“選べること”を用意してあげると、コントロール感が生まれやすくなります
- 使うハサミやバリカンを本人に選ばせる
- 先に切るのは「前髪?横?うしろ?」など、順番を選ばせる
- 終わったあとのごほうび(シール、遊び)を一緒に決める
「自分で決められた」という体験が、安心感や達成感につながります
工夫⑤:まずは“切らない”体験から始めてもOK
苦手が強い子の場合は、いきなり切ろうとせず、“慣れる”ことを目的にしたステップ練習から始めるのも有効です
たとえば:
- ケープをつけるだけでOKにする
- ハサミを持って、ぬいぐるみの髪を切ってみる
- 鏡で自分の顔を見る練習だけする
- 家族が髪を切る様子を見せて、「へえ〜やってるな」と眺めるだけ
「できた!」という成功体験を少しずつ重ねていくことで、本番へのハードルが下がっていきます
最後に|“切れた”より“安心していられた”が大切
子どもが髪を切ることを嫌がると、親としても「困ったな」と思ってしまうのは当然です
でも大切なのは、「ちゃんと切れたか」ではなく、子どもが安心して取り組めたかどうか
無理に押し切って苦手意識が強くなるよりも、
少しずつ「大丈夫だった」「思ったより平気だった」体験を増やしていくことが、長い目で見た支援につながります
焦らず、子どもに合ったペースで進めていきましょう!
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