園や学校などの集団生活では「椅子に座ってね」「ランドセルを片付けて」「次は○○するよ」といった“指示”がたくさん飛び交います
でも中には大人の言葉がうまく届かず「聞いてないのかな?」「無視してるのかな?」と思ってしまう子もいますよね
実はそうした子どもたちは「ことばを理解する力」や「聞いて行動にうつす力」にちょっとだけ支援が必要なことがあるんです
今回は、作業療法士の視点から「指示が通りにくい子」に対してできる関わりの工夫を紹介します!
指示が通らないのは「わかっていない」だけじゃない
大人の指示に反応がないと「この子、話を聞いていないのかな?」と思うことがあります
でも実際には、こんな背景があることも少なくありません
- 言葉での説明を理解するのに時間がかかる(言語理解の課題)
- 注意が散りやすく、聞いている途中で意識がそれてしまう
- 「いま何をするべきか」がイメージできない
- 一度に複数のことを言われて混乱してしまう
つまり
「聞いていない」「ふざけている」と決めつける前に“どうすれば伝わるか”を工夫することで子どもはぐっと動きやすくなることがあるんです!
ことばだけで伝わらないときの5つの工夫
① 視覚的に伝える
言葉が通じにくい子にとって「見る情報」はとても強い助けになります
- 写真や絵カードを使って伝える
- ホワイトボードに予定ややることを書いておく
- 動作を実際にやって見せる(モデリング)
「ことば+視覚」で伝えることで子どもが「何をすればいいか」をイメージしやすくなります
② 一度に伝えるのは1つだけにする
「◯◯してから、△△してね」は大人には簡単でも、子どもには難しいことがあります
- まずは「◯◯してね」と一つだけ伝える
- それができたら「次は△△しよう」と順番に伝える
一度に伝える情報を減らすことで子どもの理解と行動のハードルが下がります
③ 名前を呼んでから、目を合わせて伝える
意外と見落とされがちですが「話しかけるタイミング」や「注意の向け方」も大切です
- まず子どもの名前を呼ぶ
- できれば目を合わせてから話す
- 手を止めてもらう or 軽く体に触れて注意を引く
こうした一工夫で「いま自分に話しているんだ」と認識しやすくなります
④ 行動を分かりやすく区切ってあげる
指示が通りにくい子の中には「何を・どうすればいいか」が曖昧なまま行動に移せないことがあります
たとえば「お片付けしてね」だけだと、何をどうすればいいのかピンとこないことも
→「ブロックはこのかごに入れてね」など具体的な行動をわかりやすく区切って伝えると動きやすくなります
⑤ 「できたね!」をその場で伝える
指示が伝わって動けたときにはその場ですぐに「わかったね」「できたね!」と伝えてあげましょう
これにより「ちゃんと伝わった」「言われたことがわかると気持ちいい」といった自己効力感(自分でできるという感覚)にもつながります
「伝わらない」のではなく「伝え方が合っていない」だけかも
指示がうまく通らない子に接していると大人もついイライラしてしまったり「どうしてこの子だけ…」と感じてしまうこともあるかもしれません
でもその子に合った伝え方にちょっと変えてみるだけでちゃんと伝わるようになることも少なくありません
「この子にはどう伝えるとわかりやすいかな?」と視点を変えることが関係づくりの第一歩になります
おわりに
伝わると、動ける。動けると、自信がつきます!
子どもが「わからないまま怒られる」ことが続くとどうしても自己肯定感が下がってしまいます
逆に伝わって・動けて・褒められる
この小さなサイクルを重ねることで子どもは「自分はできる!」という感覚を育てていきます
ことばが届きにくい子にこそ伝え方の工夫が、心の栄養になるんです!
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