「うちの子、小学校でちゃんとやっていけるかな…」
「発達障害かもしれないって言われたけど、何を準備すればいいの?」
就学前のお子さんを持つ保護者の方の中には、そんな不安を感じている方も多いと思います
特に、発達が気になる子どもやグレーゾーンと呼ばれる子どもは、環境によって得意・不得意が大きく変わることがあります
この記事では、作業療法士として現場で支援してきた経験をもとに
小学校に入る前に知っておきたい発達の特性と、家庭でできる支援のポイントをわかりやすく解説します!
特性①|じっと座って話を聞くのが苦手
「気が散りやすい」「すぐに立ち歩く」「姿勢が崩れてしまう」
これらは性格ではなく、姿勢保持や集中力の発達段階が関係していることが多いです
●支援のポイント
- 足がしっかり床につく椅子を使う:姿勢が安定しやすくなる
- 5〜10分ごとに活動を区切る:短時間での集中をくり返すことで少しずつ伸びる
- 体を動かす時間を日常に取り入れる:動いてから座るほうが集中しやすい事も
特性②|集団行動が苦手・マイペースすぎる
「みんなと同じ行動ができない」「1人で別のことをしてしまう」
背景には、見通しを持つのが苦手だったり、社会性の発達がゆっくりな場合があります
●支援のポイント
- スケジュールを“見える化”する:「今・次・その次」がわかると安心する子が多い
- まずは1対1のやり取りから:模倣遊びや順番こ遊びを取り入れる
- 否定よりも肯定的な声かけを:「〇〇してくれると助かるよ」と伝える
特性③|感覚に敏感・鈍感など“感じ方”に偏りがある
- 大きな音や服のタグが苦手
- 逆に強い刺激を求めて動き回る
- 痛みに鈍感でケガに気づかない
こうした感覚の偏り(感覚過敏・感覚鈍麻)は、発達障害やグレーゾーンの子によく見られます
●支援のポイント
- 子どもが嫌がる刺激を観察し、避けられる工夫をする
- 感覚遊びを取り入れる(例:タオルでくるむ・トンネルくぐり・ブランコなど)
- 無理に慣れさせようとしない:「安心」が感覚への慣れを助けます
特性④|言葉のやり取りがうまくいかない
「話しかけても返事がない」「指示が通らない」
こうしたケースでは、言葉の理解や表現がゆっくりなことが背景にある場合があります
●支援のポイント
- 絵やジェスチャーを使って“見てわかる”伝え方にする
- 子どもが言いたかったことを想像し、代弁してあげる
- 一方的に話すタイプの子には、“会話の順番”を遊びで学ばせる
特性⑤|がんばってもできないことがある
- はさみやお箸が苦手
- うまく走れない、すぐに転ぶ
- 苦手なことに対してすぐに怒る・泣く
これらは「さぼっている」「努力が足りない」のではなく、発達の凸凹による不器用さが原因かもしれません
●支援のポイント
- 「どうすればできるか」を一緒に探す姿勢を持つ(道具の工夫、段階的な練習)
- “できた!”を積み重ねて自己肯定感を育てる
- 本人の努力ではどうにもならない部分があることを理解する
「完璧な準備」より「安心して挑戦できる環境」を
小学校に入る前に大事なのは、「すべてをできるようにすること」ではありません
それよりも、
- 苦手なことがあっても安心できる環境
- 助けを求められる関係性
- 自分なりのペースで挑戦できる経験
これらを家庭の中で少しずつ積み重ねていくことが、就学準備の本質です
おわりに|“できるようにする”より“困らないようにする”支援を
発達が気になる子にとって、「できないこと」が問題なのではなく、
「できないことで困る」環境が問題になることが多いと感じています
だからこそ、
- 子どもの特性を知ること
- 環境や関わりを整えること
- 家庭で無理なく取り入れられる支援を知ること
この3つが大切です
就学前の今こそ、焦らず着実に「安心して挑戦できる力」を育てていきましょう!
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