子どもが話すときや遊ぶときに声がとても大きくて困っている
そんな相談は現場でもよくあります!
保育園や幼稚園では「声を小さくしてね」と何度も注意されたり
家庭でも買い物中や電車の中で「静かにして」と言われがちです
でも実は
声の大きさがコントロールできない背景には
感覚の特性や発達の段階が関係していることがあります!
ここでは声が大きすぎる子どもに対して
なぜそうなるのか
そしてどんなふうに関わっていけるのかを
作業療法の視点からお伝えします!
なぜ声が大きくなってしまうのか?
まず「わざと大きな声を出している」のではないことが多いです
本人にとっては普通のつもりでも
まわりからは「うるさい」と感じられてしまう
その理由として考えられるのは
以下のような感覚の特性です
① 聴覚の感覚が鈍いタイプ
周囲の音をあまり敏感に捉えられない場合
自分の声が聞こえにくく
つい大きな声で話してしまうことがあります
これは聴覚過敏とは逆のタイプです
音に気づきにくかったり
環境音と自分の声の違いがわかりにくかったりするのです
② 自分の感覚への気づきが弱い
自分の声の大きさや体の状態に気づく力
これを「固有受容感覚」や「身体感覚」と呼ぶことがあります
この感覚が育っていないと
「今どのくらいの声で話してるか」が分かりにくい
だから「もっと小さく話して」と言われても
ピンとこないまま同じ声量になってしまうのです
③ 興奮しやすく気持ちが高まりやすい
楽しいことがあると声が自然と大きくなる
これは子どもによくある姿です
ただ、
気持ちが高まりやすく興奮しやすいタイプの子では
日常のちょっとした刺激でも声が急に大きくなることがあります
こうした傾向は
気持ちのコントロールや衝動の調整がまだ育っていないことと関係しています
年齢に比べて感情の波が大きかったり
集中や切り替えが難しい子ではよく見られる特徴です
「静かにして」では伝わらない理由
「静かにして」と何度言っても変わらないと
ついイライラしてしまうかもしれません
でもこれは
「静かにするってどうすればいいのか」がイメージできていないだけかもしれません
発達障害やグレーゾーンの子どもたちの中には
言葉での指示だけでは難しい子も多くいます
視覚的なサポートや
具体的な行動の提案があると伝わりやすくなります!
声の大きさを伝える工夫
以下のような工夫はとても効果的です
• 声の大きさを数字で表す「ボリュームメーター」を作る
例:1はささやき声 2は普通の声 3は大きな声 4は怒鳴り声
→「今3になってるね 2にしようね」と具体的に伝える
• 鏡を使って話す練習をする
→ 自分の口の動きや声の響きを視覚的に確認できる
• 親が「これくらいの声で話してみよう」とモデルを見せる
→ お手本があると分かりやすくなる
安心感がカギになることも
声の大きさが気になる場面では
その子が安心して過ごせているかを見直すことも大切です!
不安や緊張があると
防衛的になって声が大きくなる子もいます
静かな空間
見通しが立つスケジュール
安心できる大人の関わり
こういった環境が
声の調整にも間接的に良い影響を与えることがあります
まとめ
声が大きすぎるという困りごとの背景には
感覚の育ちや自己調整の力が関係していることがあります
ただ注意するだけではなく
伝わりやすい方法で声の大きさを知らせたり
安心して過ごせる環境を整えたりすることで
少しずつ落ち着いた声のやりとりができるようになることもあります
その子の特性を理解しながら
無理なく取り組める工夫を見つけていけたらと思います!
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