「また同じことしてる!」
「何回言えばわかるの?」
日々、発達がゆっくりな子と関わっていると、そんな気持ちになることもあるかもしれません
でも、同じことを繰り返してしまう背景には、本人の「わざと」ではない理由があることも少なくありません
この記事では、発達障害やグレーゾーンの子どもたちに見られる“学びのペースの違い”について
作業療法士の視点から、支援や声かけの工夫をご紹介します!
なぜ何度言っても同じことを繰り返すの?
何度注意しても同じ行動を繰り返す子がいます
その理由は様々ですが、よく見られる背景には以下のようなことがあります
• 一度の指示で全体を理解するのが難しい
• 「失敗から学ぶ」が苦手で、同じパターンに気づきにくい
• 頭では分かっていても、実行のタイミングがズレてしまう(実行機能の苦手さ)
• 注意や感情のコントロールがうまくいかず、衝動的に動いてしまう
たとえばADHD傾向のある子は、「これをやってはいけない」と分かっていても、その場面になるとパッと行動が先に出てしまうことがあります
ASD傾向のある子は、「こういうときはこうする」という具体的なルールの理解があいまいなまま、同じ状況で同じ行動を繰り返してしまうことがあります
学びのペースは「その子のテンポ」
大人にとっては「もう何度も言ったよね」と感じることでも
子どもにとっては「まだわからない」「まだ慣れていない」段階かもしれません
これは、「発達が遅れている」というよりも、「発達のテンポがその子なり」という見方もできます
たとえば、
- 何度も体験して、少しずつパターンをつかむ子
- 一度成功しても、別の場面ではまた失敗する子
- 習慣化までに時間がかかる子
その子の「学びのスタイル」に合わせた関わりが大切になります
関わり方のヒント|作業療法士の視点から
では、具体的にどんな支援ができるでしょうか
以下は現場でよく使われる工夫の一例です
① 具体的な場面ごとの対応を一緒に考える
「廊下を走らない」ではなく「〇〇の前を通るときは、ゆっくり歩く」など
具体的なシチュエーションとセットで伝えることで理解が深まりやすくなります
② ミスや失敗のあとに「なぜ?」ではなく「どうしたらよかった?」と聞く
子ども自身が自分の行動を振り返るきっかけになります
責める口調ではなく、一緒に考える姿勢が大切です
③ 成功体験を積み重ねる
同じことで何度も注意されている子は、自信を失いやすくなっています
小さな成功や「できた!」という経験を意識的に作っていくことが、行動の変化につながります
「わからない子」ではなく「わかり方が違う子」
大人が何度も伝えても、伝わらないとき
それは「伝え方」がその子に合っていないだけかもしれません
発達障害という診断の有無に関わらず
子どもにはそれぞれの「わかり方」「身につけ方」があります
「わからない子」ではなく「わかり方が違う子」として見ていくことで
関わり方も自然と変わっていくはずです
おわりに
何度言っても同じ行動をする子どもを見て、ついイライラしてしまうのは自然なことです
でも、その子の発達や学びのペースを理解することで
今までの見方が少し変わるかもしれません
作業療法士として現場で支援してきた経験からも
「ちゃんと伝わる関わり方」は、子どもを変える大きなきっかけになります
このブログでは、今後も発達がゆっくりな子や発達障害のある子への支援について
専門職としての視点からお伝えしていきます!
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