「白ごはんしか食べない」「食べられるものが3つしかない」
そんなふうに、食の偏りに悩む保護者の方はとても多くいらっしゃいます
特に、発達障害や発達がゆっくりな子どもたちには「偏食」や「極端な食べムラ」が見られやすい傾向があります
単なるわがままではなく、感覚や発達の特性が関係していることが多いため、無理に食べさせることでかえって逆効果になることもあります
この記事では、発達障害の子どもによく見られる偏食の背景と、家庭で取り組める支援の工夫5つをご紹介します!
偏食には「感覚」「不安」「経験」が関係している
子どもがごはんを食べない理由は「好き嫌い」だけではありません
特に発達に特性がある子どもは、以下のような理由で食べることにハードルを感じていることがあります
- 口の中の感覚が敏感で、特定の食感・温度が苦手
- 見た目やにおいへのこだわりが強く、新しい食材を避ける
- 過去にむせたり吐いた経験があり、食べること自体に不安がある
- 食事の時間に落ち着かず、姿勢や注意が保てない
- 食具の使いにくさや口腔機能の発達により、上手く食べられない
つまり、子どもにとっては「食べない」のではなく「食べられない」状態になっていることもあるのです
支援の工夫①:食べられるものを軸に、少しずつ広げる
まずは「食べられるものがある」ということを大切にしましょう
「また〇〇ばっかり…」と思ってしまう気持ちは自然ですが、安心して食べられる食品があることは大きな強みです
そこから、「似た食感」「似た味」「似た見た目」の食品に少しずつチャレンジを広げていきます
たとえば白ごはんが食べられるなら、
→おにぎり →混ぜごはん →やわらかいチャーハン…など、少しだけ変えたアプローチを繰り返します
支援の工夫②:感覚に合った“食べやすい形”を工夫する
苦手な食材も「見た目」「におい」「口あたり」で大きく印象が変わります
たとえば:
- トマトが苦手→湯むきしてゼリー状の部分を取ると食べられることがある
- ザラザラした食感が苦手→ミキサーでなめらかにする、ゼリーにする
- においに敏感→温度を下げて出す、換気してから提供する
子どもの感覚に合わせて、「食べられそうな状態」に調理法で工夫することも大切です
支援の工夫③:食事時間を“安心できる環境”にする
子どもが落ち着いて食べられるかどうかは、環境にも大きく左右されます
- 食事中にテレビや音が多すぎないか?
- イスやテーブルが体に合っているか?
- 姿勢が安定しているか?
- 食事の時間がプレッシャーになっていないか?
特に、感覚過敏や注意がそれやすい子どもにとっては、環境の影響が非常に大きいです
「楽しい時間」「安心できる空間」と感じられるように、まずは環境を整えることも支援の一つです
支援の工夫④:無理に食べさせず、体験を“楽しく”積む
「ひとくちでいいから」「これだけは食べて」と頑張っても、かえってストレスになってしまうこともあります
そんなときは、“食べなくてもいい食体験”を取り入れてみてください
- クッキングや盛りつけを一緒に楽しむ
- 食材に触れるだけの“食感遊び”をする
- 野菜スタンプなどで“見る・触る”ところから始める
食べることへの「嫌なイメージ」を少しずつ減らし、「食べものって面白い」「いいにおいだな」と感じられるような経験を重ねていくことが大切です
支援の工夫⑤:記録してみることで「傾向」が見えてくる
子どもの偏食は、「なんとなく」ではなく具体的なパターンがあることが多いです
たとえば:
- 柔らかすぎる食材はNGだが、サクサクは食べられる
- 冷たいものはOKだが、あたたかいスープは苦手
- 白くてつるっとしたもの(豆腐・はんぺんなど)は拒否しやすい
記録をつけることで、どんな感覚が苦手かが少しずつ見えてきます
記録は専門職(作業療法士や言語聴覚士など)との相談時にも役立ちますよ
おわりに|“食べない”にも理由がある
子どもの偏食には、その子なりの理由や背景が必ずあります
それを「甘え」「わがまま」と決めつけず、
「どんな感覚がつらいのかな?」「どうすれば食べやすいかな?」と、支援の視点で関わることが何より大切です
すぐに何でも食べられるようになるわけではありませんが、焦らず一歩ずつ
“食べられた!”の経験を積み重ねていけるよう、一緒にサポートしていきましょう!
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