「帰りたくない!」が毎回大変…発達障害の子どもへの切り替え支援と工夫とは?

感覚

「もう帰るよ」と声をかけた瞬間に怒り出す
毎日のように、園や遊び場、スーパーの前で大騒ぎ
そんな“帰りたくない!”で困っているご家庭はとても多いです

発達障害や発達がゆっくりな子どもたちは、「切り替え」がとても苦手なことがあります
ただの“わがまま”ではなく、脳の特性や感覚の感じ方が関係していることも少なくありません

この記事では、「帰りたがらない子ども」が抱えている背景と、その子に合った具体的な支援方法についてご紹介します

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なぜ「帰りたくない!」になるの?

発達障害のある子どもたちが“帰りたくない!”となる背景には、以下のような要因が考えられます:

● 今が楽しすぎてやめたくない

→ 特にASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある子は、興味のある活動に強く集中する特性があり、途中でやめるのがとてもつらく感じます

● 次に何があるか分からない

→ 「帰る=何が起こるか不明」という不安から、今の場所から離れること自体に抵抗を感じることがあります

● 感覚の過敏・鈍麻が影響

→ 感覚刺激が少なく安心できる場所(例:ブランコ、すべり台)から離れるのがつらい/または、感覚刺激がほしくてもっと遊びたい、というケースもあります

● 「終わり」が苦手

→ 見通しが立ちにくく、「あと何分で終わり」「次はこれ」といった時間感覚や予定の理解が難しい子も多くいます

切り替え支援の工夫5選

それでは、実際の支援としてどんな関わり方ができるかをご紹介します
日常生活ですぐに使える工夫ばかりなので、ぜひお子さんに合いそうな方法を試してみてください

工夫①:事前に「見通し」をしっかり伝える

見通しのなさは、不安とパニックの大きな原因になります
• 「あと〇分で帰るよ」と時間を区切る
• 時計やタイマー、砂時計など視覚的に見える道具を使う
• 「ブランコ→すべり台→おしまい」と予定を伝える
• 絵カードや写真で「今→次→その次」を視覚的に示す

「終わりが来ること」「次があること」をあらかじめ理解しておけると、気持ちの切り替えがしやすくなります

工夫②:「終わり」に意味づけをする

「帰る=つまらないこと」「終わり=喪失」とだけ捉えていると、どうしても拒否感が出やすくなります
• 帰ったあとに楽しみが待っていることを伝える(例:おやつ、好きな動画タイム)
• 「お兄さんになってきたから帰れるね!」など、肯定的な声かけをする
• 「今日はブランコ5回までできた!」など、できたことに注目して終わる

“帰る”という行動自体が、ポジティブに捉えられるような言葉がけが効果的です

工夫③:切り替えの“前に”固有感覚・前庭感覚を使う

感覚刺激を通して、脳の切り替えスイッチが入りやすくなる子もいます

  • ブランコ・ジャンプ・かけっこなどの前庭・固有感覚刺激を帰る前に少し入れる
  • 帰る直前に「ぎゅーっとハグ」や「おしくらまんじゅう」のような遊びを入れてあげる
  • トランポリンや鉄棒など、感覚統合的な遊びの後に“帰る流れ”に入れる

切り替えに時間がかかる子ほど、身体からの刺激で気持ちを切り替えやすくするのが有効です

工夫④:子どもに“選ばせる”形で関わる

自分で決められない状況では、抵抗感や反発が大きくなりがちです

  • 「あと1回すべり台をしたら帰る?ブランコにする?」と選択肢を与える
  • 「自分でタイマー止めたら帰ろうか」など、“自分でやる”形にする
  • 「帰ったら自分でおやつ選べるよ」など、次の行動にコントロール感を持たせる

選ぶ経験があると、「納得して帰った」という感覚につながりやすくなります

工夫⑤:「帰る練習」や“ロールプレイ”も効果的

普段の生活の中で「帰る」ことを遊びに取り入れたり、予行練習したりするのも効果的です

  • ぬいぐるみに「そろそろおうち帰ろうね」と声をかけるごっこ遊び
  • 絵本や動画で「帰る・終わる」場面を一緒に見る
  • 落ち着いている時に「帰る時ってどうするんだっけ?」と確認する

実際の場面以外で“帰る”を練習しておくと、本人の気持ちも整理しやすくなります

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最後に|“帰れた”より“安心して帰れた”を大切に

「帰りたくない!」という行動の裏には、子どもなりの“理由”や“感じ方”があります
単に“我慢させる”“叱ってやめさせる”のではなく、
安心して切り替えられる環境や関わり方があると、少しずつ変化が見えてきます

「うまく帰れた」よりも、「自分で納得して帰れた」「泣かずに帰れた」という小さな成功体験を積み重ねていくことが、長期的な自信と安定につながります

焦らず、お子さんのペースで少しずつ関わっていきましょう!

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